ワンクリックで人を潰せることへの無自覚

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“人は殴られない距離にいると強気に出る。だから新聞の投書は高圧的”
@smashmedia

というツイートを見て、正に、と思った。

最近さんざん取り上げ尽くされた感のある、生活保護不正受給の件。

次長課長の河本は、どう考えても犠牲者だと思う。

だいたいこの件は、そもそも生活保護制度そのものと、その受給に関して
国や役所の基準や監査が大甘であるという根本的な大問題ありきで、

そこに「家族なんだから面倒を見るべき」という昔気質の倫理観と、
「5000万円も稼いでるのに、許せない」という妬みが、完全に入り混じってる。

人の話を聞いていると、大体が「法的にうんぬん」という部分は放り投げてしまって、
「・・・でも、やっぱダメだよね。」という、要するに後者のどちらかを元にした感情論で
終わってる。これは非常にまずい。

これはつまり、論理的な根拠もなく「罰せられて然るべき」と言ってるのと同じで、
こういうのを主張の強い人が言うと、意見を持たない浮遊票に対する扇動になる。

匿名性や、冒頭の”殴られない距離”のおかげで、インターネットが
みんな自分の思ったことを何でも吐き出せるような場になったわけだけど、

「・・・でも、やっぱダメだよね。」

という誰かの結論を単にリツートするだけでも、
「私も、罰せられて然るべきだと思います」という意思表示としているのと同義で、
またそれを急速に、かつ確実に伝播する力を持っているのがインターネットであって、

要するにそれは、悪意のない集団リンチ。

無自覚に、ワンクリックで、誰かの人生を踏み潰してしまうことができる。
もうそんな時代に、とっくに突入してしまっている。
ちょっと友達の家に集まって、内輪で誰かの悪口を言うのとは全く違う。

みんな悪気なく、世の中の歪みやストレスや、鬱積した何かを持って、
結果として特定の生贄を欲しているわけだけど、今回はそれが河本だったというわけで。

変な話、そうやって運悪くその犠牲になった誰かが、
例えば耐え切れずに命を絶ったりしたら、

その時に心の底から、

「それでもやっぱり、仕方ないよね。」

と言えるだろうか?いや言えるはずがない。言えたら感心するわ。

それはもう、

いじめをしてて、相手が死んじゃった途端に
「そんなつもりじゃなかった」といって泣いて謝る中学生と一緒。

その最中には、いじめてる自覚なんてないんだから。

まじ恐ろしいわー。

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