学割

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世の中には学生割引ってものが沢山ある。
携帯電話の料金しかり、映画館の料金しかり。

社会人というか、まぁ現時点では旅人というか、
正確にはニートみたいな私には、当然得られる権利ではなく、

非常に羨ましくて仕方ないのです。

学割っていいな。

いつもそう思ってます。

旅をする中でも学割制度は結構あって、国際学生証を持っていると、
例えば世界遺産の入場料が半額ぐらいになったりとか、
なかなか便利なものなのです。

ただ、国際学生証なんてものは、バンコクなんかじゃ当たり前に偽造されてて、
まぁ偽造っていうか、ジョークグッズぐらいの勢いで普通に作れちゃいます。

そんなわけで学生でもないのに、ニセ国際学生証のお陰で、
学割を受けている旅行者は山ほどいるわけですが、

私はどうかといえば、そんなことはしません。

何故かって、そりゃあ学生じゃないからですよ。

いやもちろん私だって、料金は安くなる方がいいですよ。
だけど、後ろめたいことはしたくないのです。

例えば、ニセ学生証を持って、入場の列に並んでいる時にですね、

「あー、この学生証で見破られたりしないかなぁ」とかね、

そんな気持ちになりたくない。もっと心地よく生きたい。

一応私も、ニセ学生証こそ使ったことはないですが、
例えば入場料払う時に、カメラ持ってる人はプラスいくら、みたいな場所で、
「カメラ持ってません。」みたいな嘘をついたことがあるんです。

カメラ持ってるのに。

だけど、結局中入って写真撮ろうとした時に、人の目が気になって仕方がない。
誰かに見られてていつかバレるんじゃないか、と。
バレて結局お金払わされることになるんじゃないか、と。

それでやっぱり後悔するんですよ。

そんな後ろめたい気持ちで過ごすぐらいなら、
ちょっと出費しても、気持ちよく過ごした方が絶対いい。

料金をケチった自分がバカらしくなるんです。

だから私はニセ国際学生証なんてものはね、作りませんよ。

バンコクでね、最終日に作ろうとしたけど、
バスの時間が迫ってて作りそこねた とかね、

そんなわけではありませんよ。

それで、こちらは学割があるわけではないのですが、
リアル学生たちもこぞって行く、ネパールでのトレッキングをね、
やろうかやるまいかと悩んでいたんですよ。

結構誘われたりもして、悩んだすえ、結局行くのはやめたんですが、
後日出会った中国人の青年がトレッキングした時の話を聞いたんです。

彼がトレッキングしたのは4~5年前で、
ちょうどネパールの政情が不安定な頃の話でした。

彼は8日間かけて行くトレッキングに参加したのですが、
1日目でゲリラ兵に出会いました。

もう1日目とかね、

これからどうなるのかなー。
どんな景色見れるのかなー。

って、それこそドラゴンボールばりに、
「おらワクワクしてきたぞ」感がハンパ無いわけですが、

もう違う意味で、

これからどうなるのかなー。(生死の境的な意味で)
どんな景色見れるのかなー。(三途の河的な意味で)

ってガクブル感がハンパ無いスタートを切ったわけです。

で、非常にベタな展開ですが、金だせ、と。

それで彼はダッシュで逃げたのです。

彼のグループには、他に台湾人2人と、
ポーター(荷物運び屋)なんかが一緒に居たのですが、

逃げたのは彼1人で、彼は先の方にある村にたどり着き、
他のメンバーが来るのを待っていたのですが、

先に1人で偵察というか、彼の安否を確認しに、
ポーターがやってきたので、事情を説明すると、

「え、お金払ってないの? 普通それ殺されてるよ。」と。

ですよねー。

よく生きてるよねー、俺。

みたいな。

そんなこんなで、ガクブル状態のまま、その村で夕食をとっていた時のこと、
ゲリラ兵がやってきたのです。

「おい、お前出て来い。」

「は・・、はい。」

仕方なく、表に出る彼。

「お前さっき逃げただろ。金払えよ。」

「・・・いや、私はもうネパール政府にお金を払っていますから。」
(※山登りには、パーミット料を事前に払うシステムがある)

「分かってないな。この国には二つ政府があるんだよ。
ここは俺達のシマだから、金を払ってもらわなきゃならないんだよ。」

もうこの辺はヤクザと一緒なんですが、
そんな状況にも、恐れず粘る彼。

「そんなの・・・知りませんよ。」

「とにかく、さっさと払えよ。」

「・・・払いたくありません。」

何とか抵抗しようとする彼。
そして、そこに審判を下す言葉。

「なら、殺すよ。」

いやーもう、殺すとか、最終兵器すぎますって。
返答に選択肢がなさすぎるから。

粘りの国境がはっきりしすぎ。

粘り国、ここまで。
——————
「なら、殺すよ。」
——————
ここから先、諦め国。

「うわーここが国境かー、ここで記念写真撮ろー。」
「ほら、いま俺、粘りと諦めを股にかけてるよ!見て見て!」

とかね、
普通の観光客ならそのぐらいハシャギますよ。

でも彼は違いました。
むしろ国境の線塗り替えようとしてた。

「じゃ・・学生なんで、学割とか・・できますか?」

と。

で、出てきた答えが、

「学・・割・・? え・・、じゃ・・、半額でいいよ。」

もう国境とかないですよね。ボーダーレス。
しかも半額(正確には半額以下)とか良心的。

ちゃんと学生のこと考えてる。
若者の将来性を見据えてる。

やっぱゲリラもそういうこと考える時代になったんだと思います。

・・・

やっぱり学生証作ろうかな。

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