途上国の子供とお金

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そういえばふと思い出したので書いてみようかなと。
これは南米ボリビアでの話です。

海外を旅していると、まぁ相当な高確率で出くわすのが、
ホームレスや低所得者による、お金ちょーだい発言。

これはもう、旅をしている人のブログには五万と書かれてあるトピックで、
アリ派(つまりお金をあげてもいい人)とナシ派(あげない人)が存在します。

バックパッカーの旅というのは、そもそもが貧乏旅行に近いので、
そんなに他人にあげられるほどお金持っていないというのもあるのですが、
とはいえ、小銭程度であれば、今後の旅予算にさほど影響しないのも事実。

そこで、こういった人々に対して、小銭をあげるかあげないか、
という問題が行く先々で勃発するのですが、大抵の人はあげないようです。

かくいう私もあげません。
まぁ私の場合はアリとかナシとかいう以前に、
正直なところまだ自分の中で、判断がつかないから、なんですが。

一番多く聞く意見としては、
「何か一芸披露するなりして、お金をもらうための努力をしている人に対してなら考える」
という感じのものです。

つまり、タダで金もらおうなんて甘いよ。

という、世の中に対して教育型というか、建設的な意見になるんですかね、こういうのは。
お金をあげたら、この人はそういう生き方しかできなくなるから、
ここはあえて甘やかさない方が良い、という考えに基づいているか、

もしくは単に、こちらに何のメリットもないのに、お金を払いたくない、
という至極素直の意見かのどちらかだと思います。

私も前者に関しては、賛成”寄り”です。

というのも、旅に出る前は完全にこの意見に偏っていたのですが、
途上国で出会う子供の幼いこと。年の頃にして、5歳とか6歳とか、
日本の子供でいうなら、これから数年後に、
好きな子の体操服の匂いとかを内緒で嗅いじゃうような、将来が大変有望な子供たちです。

日本語が通じるようなら、その子たちの両肩でもさすりながら、
お前らもクラスで一番かわいい子のリコーダーでもパクッて、立派な大人になるんだよ。
と、激励してやりたい気分ですが、海外だとそうもいきません。
学校でリコーダー使うのか知らないし。

正直なところ、私の考えは旅に出てから少し変わりました。
幼い子供がボロボロの服を着て、私のところに来るなり、無言で私に向かって、
手のひらを差し出してくる。

たぶんお金であれ、お菓子であれ、ペンとかでもいいんでしょうけど、
とにかく何かをくれと。

そういうのを目の当たりにした時に、ふと考えたんです。
実際、もし私がこの子の立場だったらどうするか。

いや、海外の場合は、本当にそういう人達が多いんで、
親が知恵つけちゃって、大人がまともにやるとお金もらえないの分かってて、
わざと自分の子供を行かせて同情をひく作戦とかあるんですよ。

その辺がかなり巧妙で、本当のところがどうなのか、
こちらも判断もなかなかつきません。

ただ、仮にもし、その子に両親が既におらず、
完全に独りぼっちのストリートチルドレンだったとした場合、

そして、私がその立場だった場合、どうするか。

たぶん私も同じことをすると思います。

幼稚園とか小学校の低学年ぐらいの年齢で、言葉もまともに知らなければ、
社会のことも分からない。生きていく術なんて誰からも教わってない。

そんな状態で、一体何ができるっていうんでしょう。

多分私が日本の小学校1年生の時に、いきなりインドに連れていかれて、
ストリートチルドレンになったとしたら、たぶん号泣に号泣をかさねて、
泣き疲れた挙句、飢え死にしてたかもしれません。

その程度の年齢なんです。
だから、それを考えたら、決してその子を責められないし、
ましてや、お金が欲しいなら一芸披露してみろや、なんてとても思えない。

かといって、私がここで小銭をあげても、この子の宿命を変えられないのも事実。
旅に出ている間はそういう葛藤がかなりありました。

そう考えると、結局のところ子供であれ、大人であれ、その状況は責められないし、
そういった人達に対して、芸があるとかないとか、
そういう先進国的な判断基準を持ち込むのはどうかなと思うようになったのです。

だから、たとえばその人達に対しての本当の意味での救済にならないとしても、
そしてひょっとすると、その行動が将来的にその人を不幸にするかもしれなくても、
陽の当たらない苦しい人生の中で、一瞬でも楽しく過ごせれば、それでも良いんじゃないかと、
そういう風な考えも出てきました。

つまり、ここで私が小銭をあげて、その小銭でアメでも買って、
アメを舐めて美味しいと感じる幸福をほんの一時でも過ごせるのならば、
それもまた良し、ではないかと。

だって、ここで私がその人を放置していたって、
この人が将来社会的にも自立していく保証なんてどこにもなく、
そして、それを支援するようなシステムも環境もこういった途上国には無いに等しいのですから。
日本のものさしでは計れない問題なんです。

だから、気持ちとしては私のポケットに入っている小銭の少しを、
こういった人達に分け与えたい。内心は。

だけどもその一方で、そこに踏み切れない自分もいる。

結局のところは、あげたいと思う時はあげ、あげたくないと思えばあげない、
その時の気持ちに委ねれば、それで良いような気もします。

個人的に避けたいのは、
とにかく何でもかんでもあげる。もしくは、何でもかんでもあげない。
といった極端な対処。

自分の中で、線引きをしてしまって、行動をシステム化してしまうこと。
それはつまり、自分が対峙する相手に対しての、思考の停止だと思うんです。
その対処がいかに合理的であったとしても、私はその思考を捨てたくないし、
結果的にそれは自分の人間性を衰退させるような気がするから。

ボリビアにいた時、
仲良かったメンバーと、小さなレストランで飯を食べる機会があったんですが、
料理を待っていると、カランカランと音がしてドアが開き、来客がありました。

目をやると、そこにはボロボロの服を着た小さな子供が立っていました。
まぁ一目で分かるんですが、要するに小銭が欲しいんだろうなと。

私たちのテーブルは、入り口のドアから一番近い位置にあって、
その子はまず私たちの方に歩いてきて、無言で手を出してきました。
私は前述した通り、即断できるほどの状態ではなかったので、
どうしようかと結構迷ったのですが、結局あげませんでした。

しかし、私たちのメンバーのうち1人が、ポケットから小銭を出して、その子に渡しました。
どうやら、その友人は(状況に依るでしょうが)お金を渡しても良いと思ってるようでした。

小銭を受け取った子供は、これといってお礼もせず、
隣の欧米人たちのテーブルにも行き、同様の行為をしていました。

これは私の偏見なのですが、日本人と比べて、欧米人というのは、
こういう場合の小銭や、飲食店などでのチップに対して、あまり抵抗が少ないような気がします。
で、例に漏れず、ここに居合わせた欧米人たちも、小銭を渡していました。

一通りテーブルを周り終えると、子供はそそくさとその店を出て行きました。

海外ではもう日常茶飯事といっても良い光景なので、私は気にも留めなかったのですが、
それから15分後ぐらいのことでしょうか。また1人別の子供が入ってきたのです。

同じように、私たちのテーブルにやってきましたが、先ほどお金をあげた友人も、
この短時間で連続であげることには躊躇いがあったのか、単に小銭を切らしたのか、
2番目の子にはあげませんでした。

その子もお金をもらえない事に関しては慣れているのか、
もらえないと分かると、あきらめて次のテーブルに向かっていきました。

「こういうのって、やっぱ難しいよねぇ。」

とか何とか、そこにいたメンバーで話しながら、食事を終えたのを覚えています。

私たちは会計を済ませたあと、宿に帰ったのですが、帰り際、
さきほど子供に小銭をあげた友人が、

「あ、自分ちょっとネカフェ寄ってから戻るんで、先帰っててください。」

といって、ネットカフェに向かっていきました。

私たちはその後宿に戻って、部屋でくつろいでいたんですが、
しばらくすると、さきほどの友人が部屋に戻ってくるなり、こういうんです。

「いやー、ちょっと見て欲しい写真があるんですよ。」

そういって、デジカメのモニターには、ネットカフェで撮ったであろう、ごく普通の光景がありました。
お客がパソコンに向かって座っている光景。

「え、これがどうかしたの?」

「いやいや、よく見てくださいよ。」

で、よく見てみると、この友人がさっき小銭をあげた子供が、
ばりばりネットカフェでゲームしているではないですか。

しかもゲームするだけならいざ知らず、

左手でばりばりジュース飲みながら、右手でマウス。

この子の将来は、心配しないことにしました。

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     /   ⌒  ⌒ \   いやー、今日も稼いだな。
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