BIKINI-chan

ここフィリピンでは、いわゆるゴーゴーバーのことを、ビキニバーと呼ぶらしい。

ゴーゴーバーとかビキニバーというのは、簡単に言うと、女の子がビキニを着て踊っているバー。

よくアメリカの映画とかで、女の子がポールダンスしているバーなんかが出てくるけど、あの感じに近い。

 

女の子には番号札がついていて、その気になれば、色んなことをお金で解決できてしまう。

全くもってふしだら、かつ不健全。

私の人生には1ミリも関係しないような汚れた場所。

 

ビキニバーという名前すら、私にとっては「はて?流行のアイスですか?」というぐらい意味不明な存在だと言える。

もしインターネットがなかったら、その名の意味すら理解できなかったことだろう。

 

だけどここの国では、滞在している日本人やら韓国人やら、皆が皆申し合わせたように、毎晩そういった場所に足を運んでいるのだ。

まったく、同じ日本人、そして同じアジア人として恥ずかしい。

第一、何でもお金で解決できると思ったら大間違い。

人生にはお金では買えないものが沢山あるということを分かっていない。

 

最近知り合った韓国人に至っては、私が日本語の「さん」と「ちゃん」の違いを教えてあげた途端、ビキニちゃん、ビキニちゃんと連呼し始めるほどだ。

まったく、私もそんなことのために言葉を教えたつもり無い。ジャンピングハイタッチした。

 

そんな矢先、友達がこう言い出した。

「今日ビキニバー行くけど、行く?」

何をバカバカしい。そんなものは愚問中の愚問。

 

「友達に誘われたから、断り切れずについ…。」

たまに、そんな言い訳も使う輩もいるが、はっきり言ってやればいいのだ。

私は興味がないのだと。私はタクシーに乗り込んだ。

 

勘違いしてもらっては困る。

あくまでこれは実態調査。個人的な趣味などではない。

お金で何でも買えると思っている同郷の恥さらしを、戒めに行くのだ。

 

タクシーで10分ほどのところに、マンゴーアベニューという歓楽街がある。

歓楽街といっても、東京の歓楽街などとは到底比べようもないぐらいちっぽけな場所。

高円寺にあるその手の店の並びを、さらに三倍ぐらいコンパクトにしたような規模だ。伝わる人には伝わるだろうか。

 

ともかく、ここがフィリピン・セブでは最もホットなスポットであることには間違いはない。

 

私は友人に連れられるがままに店に入っていった。

薄暗い店内のあちこちに女の子が座っていた。

見上げるとステージにも女の子が数人が踊っていた。

 

その周りのソファーやバーカウンターで、日本人や韓国人がステージの方を見ながらニヤニヤしてビールを飲んでいた。

それからチラッと横を見てみると、見事なビール腹の大柄なアメリカ人いた。

彼は自分でポロシャツを思いっきりまくり上げて、両サイドから2人にビーチクを舐められていた。

なんだここは…。

 

もし私が警察だったならば、公序良俗を乱す行為として即刻現行犯逮捕するところ。

しかし、残念ながら私は警察ではなかった。

私は何か不思議な力で繋ぎ止められたかのように、その光景を見ていた。

 

その刹那。

 

友人が店を出ると言いだした。舌打ちしてから店を後にした。

振り返ると、2つ離れたソファーで、落ち武者みたいな日本人のおじさんが、ニヤケ顔で女の子15人ぐらいと乾杯していた。

15対1だと・・・!??

視線を話すことができずにいたら店のドアが閉まった。

 

寮に戻ったあとになって気づいたのは、今日のビキニバーでの3時間程度の飲み代と、タクシー代まで含めて300円しか使っていなかったってこと。

 

「何でもお金で解決できると思ったら大間違い」とか言ったけど、

 

たぶんできる。

世界一周の最新記事8件