ブラインドマン

中学生ぐらいの頃は金髪ブロンドの欧米人の夢中だった。

なのに大人になってから、逆に欧米の美女というものが苦手になってしまったのだ。

なぜかは分からない。

 

いわゆるハリウッド女優のように一般的に美女とされるような女性であっても、どうにもかわいいと思えない。

もちろん美しいとは思う。

 

これはもはや個人の嗜好なので仕方がない。

結局のところ、子供のころから見てきている同郷の異性が良く見えるというわけで。

やはり日本人に近いような、中国、韓国、台湾あたりの東アジア系が好みなのだ。

 

では、ここフィリピンの女性はどうかというと、それはそれでまた好みから外れてしまう。

同じアジア人であっても、東南アジアになるとまた顔の感じが変わってくるようで、見た目は結構違うものだ。

ひょっとすると私がただの面食いなのかもしれないし、もしくは単に見慣れていないだけなのかもしれない。

 

そんな折、ここセブ島でも現在1番勢いのあるビキニバーに知人が連れていってくれることがあった。

店の名は「ジャガー」。

 

1番というぐらいだから私もかなり期待を膨らませて・・・

あ、いや、私はあくまでも知人の誘いを断るのが失礼だから行っているわけであって、濡れ衣はかんべんです。

 

店に入るといきなりVIPルームに通されて、ショーアップが2回もあった。

ショーアップというのは、女の子達がお客の前にずらーっと並んで、自分の好きな子を選べるシステムのこと。

 

その間、女の子達は「私を選んでね、うふふ。」みたいなアピールをしてくるのだけど、

「よし、じゃあ選びますか!」

とみんな一斉に選び始めた隣で、私だけはどうにも選べない。

 

私たちの目の前には総勢40人ほど(20人×2回)が並んだはずだった。

これだけの数の女の子を目にしても、どうしてもかわいいと思える子がいなかった。

 

私ともう1人の連れは選べないまま、仕方なく部屋の端のソファーで過ごしていた。

残りの4人は1対1でトークを始めていた。

 

目の前にいたバッファロー吾郎似の知人は、

「Do you like ペロペロ here?」

などとオリジナリティあふれる言葉を連発。

ストライクゾーンとデッドボールの中間みたいな球ばっかり投げる人で、相手の女の子は明らかに困惑していた。

 

私はただただ、格の違いを見せつけられた。

これが世界か…。

日本人だけど。

 

結局1時間ぐらいで店を出て、バッファロー吾郎氏を含む2人と別れた。

私たちは4人になり、特にやることもなかったので、

「ITパーク(高級なオフィス街)に行ってメシでも食べますか。」

そんな話になった。

場の空気としては「じゃあメシ食ったら解散だねぇ」ぐらいの感じだった。

 

4人でメシを食べながら、さっきのビキニバーの反省をしていた。

あの子との会話はどうだった、誘えばよかった、無理そうだった、とか。

一番驚いたのは、もっとも真面目キャラだったA君が、ちゃっかり女の子から番号を聞いていたことだった。

 

だから軽い気持ちで、みんなA君を煽ってた。

「すごいなぁ!さすがA君やるねぇ。」

「ちょっとメール打ってみた方がいいんじゃない?」

正直、みんな真面目キャラのA君を軽い気持ちでイジっているだけだった。

 

それに反して、A君は予想以上にやる気になっていた。

「仕事が終わったら、クラブに行こうよ!」

といったメールを出したところ、相手の女の子からすぐに返信と電話があった。

この時点で、私たちは「あれ、何か期待してた流れと違う…」そんな風に思っていた。

 

相手の女の子は、20分後にこっちに来るらしい。

そんなに早く来るの…?

 

ヤイヤイ言ってるうちが一番楽しいわけで、あれだけ煽っておきながら実際にやってくるとそれはそれで困る。

そこからリアルに色んな面倒くさいことが始まると、一気に萎えてしまうのが男の悲しい性なのだ。

 

そうは言っても、こちらも煽った手前、引くわけにもいかなかった。

とにかく相手の子を待つことにした。

 

もしA君の相手1人だけで来てくれれば、

「いやぁ、A君うらやましいなぁ、お幸せに。お疲れーす!」

とか何とか言って、帰ってグッスリ寝られるわけだ。

 

もちろん神様はそんなことは考慮するわけがなく、相手の子は友達2人を連れて来た。

改めて言わせてもらえるのであれば、40人もいたのに私は選べなかった。

 

かわいいと思えない子に対しては、恐ろしくテンションが上がらない。

残念ながら、これまた男の悲しい性であって、私の不徳といたすところ。

 

A君はもうノリノリだった。

会った直後から女の子と手をつなぎ、ラブラブモード全開。

男4:女3というよりは、もはや1 on 1 + 残りの男3:女2という構図になっていた。

 

「とりあえずその辺でコーヒーでも飲む?」

そう言って、7人で近くのスタバまで移動し、しばらく会話していた。

 

2時間ほど経ったと思う。

「さて、そろそろどうするよ?」

そんな時間だった。

 

A君を見ると、それはもう、魂を根こそぎ持っていかれたような、トロントロンの顔になっていた。

コラーゲンかな?というぐらいのツヤがあった。

 

ドラクエでいえば、

このあとホテルに行きますか? はい/いいえ

で「いいえ」を選択したら、

このあとホテルに行きますか? はい/いいえ

と、同じ質問をされる時の状態。

つまり、ここでは分岐なんてものはなく、次の行動は実質一択だった。

 

こういう場合は、それぞれが1人ずつ女性をお持ち帰りするのがお決まりのパターンなのかもしれない。

だけど、考えてみれば私たちは男4:女3というアンバランス。

1人余るじゃん。

 

「…お、俺、1人でも大丈夫だよ?」

 

そう言いかけた時、

 

女の子の1人がもう一人友達を呼ぶと言い出した。

 

いらん。

その気づかい、いらん。

 

でも、私にもこの状況ぐらい理解できている。

私たちはもう今さら引き返すこともできないほど、沖に船を出してしまったんだ。

もう岸は見えないんだ。

 

私たちはやむなく、もう1人の女の子を待つことにした。

その間、女の子たちはこんな風に言っていた。

「これから来る子は、背が高くて、ロングヘアーで、セクシーな体つきで、ベリベリービューティフルよ。」

 

な、何…だと!?

 

そういう大事なことは先に言ってくれなきいと困る。

もっと早く言ってくれれば、私だってもっと仕事した。

 

いや、今からだって私にできることがあれば何だってやります!社長、やらせて下さい!

そんな気持ちだった。

 

そしたら、ついにその子がやってきた。

 

背が高くて、

ロングヘアーで、

 

ともかくゴリラみたいな子が来た。

 

いや、まてよ、そもそも女の子なのか?

そんな細胞レベルの疑心暗鬼すら働くレベルで私たちはザワついた。

 

その瞬間から、男性陣は皆そろって1ミリたりとも目を合わせようとしない。

昨日まで平和だったはずのこの集落に、いきなり爆弾が落ちてきたような恐ろしい状況。

はだしのゲンかな?

 

女の子たちは、こんなことを言った。

「あれ?好みじゃないの??」

 

おい、そんな剛速球投げてくるんじゃない。

今日はキャッチボールやるって聞いたから集まったんだ。そんな球を受けられる奴はこの中にはいない。

 

男性陣はとっさに、

「ノーノー ノーノーノー」

とか、もはや肯定してるのか否定してるのかよく分からない「NO」で返すのが精一杯だった。

 

幸い、すでに隣の子にロックオンされていた私は、命拾いした。

しかし、その時点で1人だけ余っていた友だちの顔は壮絶だった。

「もう俺の人生終わった」

そんな顔だった。

 

 

そして私は学んだ。

むしろ今となっては、私の隣に座っている子、すごくかわいいじゃん。

よく見ると、自分の周りにかわいい子いっぱいいるじゃん。

 

私は盲目だった。

だが今はよく見える。

(ヨハネの福音書第9章)

 

今はよく見える。

でも、今日は解散で。

 

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