なぜ人は貼り紙を貼りたがるのか

  • 2012年8月5日
  • 2019年11月6日
  • 雑記
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わりと日常の中で肯定されているものへの否定。

 

イギリスのチェスタートンという批評家の名言に好きな言葉がある。

「なぜフェンスが建てられたのかわかるまで、決してフェンスをとりはずしてはならない 」

高級なクラブなどに行くと気づくのは、そこにある灰皿が極端に小さいことだ。

小さく造形された灰皿はそれだけで独特な美しさを持っているが、ここには原作者の粋なアイデアが詰まっている。

小さな灰皿は、一本でもたばこを吸えばいっぱいになってしまう。そうすると、スタッフが灰皿を新しいものに替える。そうするとことで、客への細やかなサービスを演出できるし、スタッフに自然と客へ細かく注目させることを可能にしている。

もちろん、これを違うやり方で実現することもできる。

たとえばマネージャーが、スタッフに「客を細かく見ろ。灰皿は、客が一本たばこを吸ったら必ず変えろ」と言えばいい。

そういうマニュアルを作ってもいいし、バックルームに貼り紙をしてもいい。

でも、これは無粋なのだ。指示を掲出すれば、指示を出せば、理解して実行されると思っているのだ。それは緊急時には実行されないし、世代をまたぐと継承されないし、新人には毎回指導しなければいけないということが理解できていない。

無粋な人は、フェンスがなぜ建てられたかを考えない。

人が造形したあらゆるものは、何らかの理由があってそうなっている。

チェスタートンが言うように、「誰かが何かの理由で、誰かの為に良かれと思って立てた」のだ。フェンスは勝手に生えたりしない。

フェンスを外す人 – β2

 

これほんと日常あるあるっていうか。

どこいっても貼り紙ってあるけど、”貼り紙までしたんだから、あとは違反した方が悪い”とか、”こっちはやることはやったんだから”感が、すごい。

仕事上でもよくあるけど、貼り紙とかメールとかでの伝達って、それ自体は世の中には必要な手段だと思うけど、思っている以上に効果のない場面が、かなりの数あると思う。

基本的には発信者側の、”言いたいことは言った”という自己満足だけしか残ってないことが多くて、受け手の反応を全く予想できていない気がする。

仕事場で、「あの人たちには本当何度言っても伝わらないから、メールやノートで残すことにしました。」みたいなこと言っている人を見たことあるけど、

いやいやいや…っていう。

何か書き残しておけば大丈夫、みたいな突拍子も無い前提立ててるけど、別に聞き手は頭が悪いから記憶できていないわけではなくて、話す側の伝達能力が乏しいだけなんじゃないかなぁ、とか思ったり。

 

口で言った→効果ない→貼り紙した→効果ない→その人が悪い

 

っていうシステム。

 

なんじゃそれ、if構文か?っていうぐらいの。

こういうの世の中に氾濫しすぎジャマイカ?

 

わけの分からない規則作って、人を統制しようとすること自体ナンセンスすぎる。

よく人事部とかが、どこぞの社員が犯したミスとかを再発防止していくために、じゃあ、こういう決まりを作りました。こういう罰則を作りました。みたいにやるやつ。あれは本当、能が無いというか。絶句する。

 

あれって、結局その人にはそれを解決する力がないから、建前上、何かしら目に見える形を作って、自分の仕事は果たしたように見せて、その実は、うまく動きもしないシステムに責任丸投げしてるだけっていう。

 

前述のブログ記事の例で言えば、

「お客様がタバコを2本吸うごとに灰皿を替えよう」って貼り紙をしたにも関わらず、

店長が「お前ら何でそんなこともできないんだ!」って怒ってるようなもの。

 

問題は、「そもそも何故灰皿交換が遅いのか?」ということの原因を突き止めていないこと。

・単にそれが頭に入っていないのか。
・分かってるけど、忙しくて替えられないのか。
・貼り紙をしたらしたで何故効果がないのか。
・文言が分かりづらいのか。貼る位置が悪いのか。

そういうのは全部すっ飛ばして、

「こいつら頭悪すぎ、貼り紙でもしとかないと伝わらない」

と勝手な推測をして、一方的な対処して、で、勝手に憤慨してるだけ。

 

もっとデザインとかアイディアで解決できる問題が沢山あるのになぁと、毎日思う。

 

この前、オリンピックのバドミントンで、リーグ戦で勝ち抜けが決まってる上位2チームでのリーグ最終戦、負けた方がトーナメントで当たる相手が楽になるから、お互い負けようとして、わざと自殺点したりとかして、無気力試合で失格とか、そういうのあったけど。

あれも同じで、スポーツマンシップに乗っとって、正々堂々と勝負しろと、そう言いたいのは分かるけど、あれは明らかにシステムがダメでしょ…。

勝負に勝って、次に当たる相手が超強豪とかやったら、結局メダル取れない確率高くなるわけやし。そんなんでどうやってモチベーション上げろと。

スポーツマンだからって、みんな聖人なわけではないし。最後の最後、伝家の宝刀「精神論」繰り出されましても。

そういう状況になったら、損得勘定してしまうのは人間の性なんだから、それも前提にした上で、じゃあどうやったら、そういう状況が生まれにくくなるか、っていう工夫をしていくことが、本来の役目だと思うし、またそれを解決できるところが、人間の知恵のすごいところだとも思う。

もっとみんな少しずつでいいから、知恵を振り絞っていきませんか。

わりと本気でお願いしたいことです。

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