イスラエルに平和が未だ訪れないのには、いくつか理由があります。
ひとつは宗教的な理由。
ユダヤ教の旧約聖書の中で、現在の土地が聖地(約束の地)として扱われていること。
同時に、(ユダヤ教からの派生であるため)キリスト教においても、聖地とされていること。
さらに、イスラム教においても聖地とされていること。
この3つの宗教の聖地を、一国(というかユダヤ人)が独占してしまっていることが、争いを引き起こす一因となっています。
では、そもそも何故この地にイスラエルが建国されたのか。
時は遡って、第一次世界大戦のころ。
第一次世界大戦というのは、それ以前の、いわゆる兵士同士が戦う、政治的な国盗り合戦とは違って、一般国民まで巻き込んだ、長期的な泥沼の戦争でした。
もうとにかくお金の(もちろんそれ以外も)消費がハンパないわけです。
それで、参戦国のひとつであるイギリスは、ユダヤ人財閥であるロスチャイルド氏に書簡を送り、ユダヤ人のための国を作ることを約束したのです。
なぜかって?そりゃーお金が欲しいからですよ。
簡単に言うと
「ユダヤ人の国作るの支援するから、戦争資金ちょーだい!」みたいな意図で。
そしたら当然ながらロスチャイルド氏も「キタコレ お金? 全然出すw」ってなって、
イギリスも「うはwww ユダヤ万歳wwwww」
みたいなやり取りが行われたかどうかは定かではないですが、
まぁお金欲しい人と国が欲しい人の、利害関係が一致した事には違いありません。
ちなみにこの時、イギリスはアラブ諸国に対して、別の約束(戦争を手伝ってもらうかわりにアラブ民族の独立を支援する)をしていたのですが、このイスラエルの件を優先したため、のちにその約束が反故になりました。
それがアラブ人を怒らせたのは言うまでもありません。
これがいわゆるイギリスの二枚舌(or三枚舌)外交です。
さて、建国を促したもう1つの理由、それはユダヤ人の迫害です。
ガチンコの第一次世界大戦で、見事に負けてしまったドイツは、もう目も当てられないぐらい借金まみれになってしまったため、北斗の拳に出てくる村の人ぐらい、希望のない状態に陥ったのですが、そんな時に出てきたのがヒトラー率いるナチスです。
「俺らが貧乏なのは、ユダヤ人達のせいだぜ!あいつらを追い出して、ドイツ人に安定した生活を!」
という、むちゃくちゃなスローガンを掲げて登場したのですが、
それが何とまぁ選挙で勝っちゃった。
今考えるとあり得ない話ですが、その当時の状況では、それぐらいしか光が無かったのでしょう。国民達にとって、他に選択肢がなかったのです。それで、ユダヤ人に対する迫害・虐殺が始まったわけです。
で、ユダヤ人が今度は追い詰められる。
そこにイスラエル建国という希望の光。当然ながら、ユダヤ人は喜んで入植(イスラエルへの移動)を受け入れる。ユダヤ人にもまた、他に選択肢はなかったのです。
そして、ユダヤ人達が集まってきた現在のイスラエルという国には、元々パレスチナ人が多く住んでいました。
しかしながら、「ユダヤ人のための国を作ろう」というコンセプトで建国されたイスラエルにおいて、パレスチナ人の居場所などあるはずもなく、今度はパレスチナ人が迫害を受け、追い出され、難民となったのです。
もうお分かりかと思いますが、パレスチナ人もまた、他に選択肢などないのです。人は皆、時代や環境に翻弄されているだけなのです。
これがいわゆるパレスチナ問題。
昨日まで家族だった人、恋人だった人が今日から別の国の人となり、会えなくなる。
そりゃー誰でも怒るって話です。
それで、パレスチナ人VSユダヤ人(つまりイスラエル国家)という対立ができ、それが現在までグダグダに続いているのです。とはいえ、現状としてはパレスチナ人はかなり不利な状況ですが。
この問題に立ち上がったのが、アラファト議長でお馴染みのPLO(パレスチナ解放機構)で、その名の通り、パレスチナ人が元の地に帰れるように、といったパレスチナ人の平和を願った機関です。
武力闘争などから、危険なイメージがありますが、PLOにもまた選択肢などない。議論して解決できるような状況なら、とっくにそれで解決してるはずです。
だけど、それじゃあどうにもならない。
どうにもならないから、武力に走る。で、戦争になる。
こういうのは、テロ組織なども同じです。テロをするには、それなりの理由があるのです。必ずそこには動機がある。
そしてその動機を生むのは、いつも周りです。
人には無限の選択肢があるようでいて、本当は選択肢などほとんど無い。世の中には沢山の選択肢が転がっていたとしても、それぞれの人+それぞれのタイミングに対してはフィルターがかかっているのです。
世界にある民族紛争というのは、政治から起こったものがほとんどです。パレスチナのように、一方的に土地を線引きしてしまった結果、起こるようなものも少なくありません。
そして中東で問題が起こるもう1つの理由、それは石油です。
中東にある巨大な油田と、そこから発生する莫大な利権に、どの国も必死になる。
サウジアラビアで、世界一の油田を掘り当てたアメリカにとっては、中東が平和になってもらわないと困る。何かのきっかけでドンパチやられて、油田のある土地が取られたり、破壊されたりしたら、たまったもんじゃない。
だから、イラン・イラク戦争なんかにも、俄然介入しちゃう。
まぁ介入された側にとっては、(゚Д゚)ハァ?みたいな感じなわけですが、「やっぱ世界平和目指したいよね」みたいな大義名分があると、別の理由が懐に入っていたとしても、あっさり介入できちゃうし、何とも良い行いをしているように見えるものです。
それはアメリカに限らず色んな国がそうであるように。
それから、イスラエルのもう1つの姿。
それは、アメリカの軍事実験場であるということ。
冷戦以降の武器開発において、実践での結果が欲しいアメリカと、戦争の絶えない歴史と土地を持ち、武器調達が重要なイスラエル、この2国の利害関係が一致していることが、アメリカがイスラエルを支援していることの背景だとか。
物事には全て理由があり、結果として何かが起こる。そこに巻き込まれるのはいつも市民で、彼らに選択肢はない。
だけど、だから悪いのは政治家だとか、そんなことは思わない。だって、そう思うなら、君が政治家になりゃいいじゃん、って話。政治家もまた時代に翻弄され、彼らにも選択肢はないのだから。
人は人生を変えられない。 私が人生の中でできることは、気まぐれな「やる気」に、いつも悩み、ときどき感謝し、そして、ただ楽しむだけ。 これは、私が世界一周旅行に出る何年か前に、ふと考え始めたことです[…]